SEM内部の電子軌道

図1:SEMにおける電子軌道の概念図
SEMとは SEMでは、電子源から放出された電子を加速し、電磁レンズや絞りで細く整えながら試料に照射します。 試料表面で発生した二次電子や反射電子を検出することで、表面形状や組成の違いを観察できます。-
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- 電子の放出 電子源(カソード)から電子を放出します。
- 電子の加速 アノード電圧によって電子に運動エネルギーを与えます。
- 電子ビームの収束 電磁レンズや静電レンズにより電子ビームを細く絞ります。
- 試料への照射 集束した電子ビームを試料表面へ照射します。
- 信号の検出 二次電子や反射電子を検出して像を形成します。
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E = eV
・e:電子の電荷
・V:電圧
SEM解析
PIC-ELECTRON 3Dを用いてSEM内部の電子軌道を解析してみましょう。 解析モデルは下記の通りです。 解析モデル
図2:SEMの解析モデル
上記のようなSEM内部の簡易解析モデルを作成し、電子ビームの生成から試料到達までの過程をシミュレーションしてみます。なお、SEMにおける各部品の役割は下記の通りです。-
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- Electron Source 電子を放出する部分です。SEMのビーム品質を決める重要な要素です。
- Wehnelt Electrode 電子の引き出し量や初期収束状態を調整する電極です。電子ビームの形成を助けます。
- Anode 電子を加速し、下流へ送り出すための電極です。加速電圧を与える中心部です。
- Electromagnetic Lens 電子ビームを細く絞るためのレンズです。焦点位置やビーム径に大きく影響します。
- Aperture 通過する電子の範囲を制限し、不要な広がりを抑える部品です。
- Sample 電子ビームが照射される観察対象です。ここで二次電子や反射電子が発生します。
- Vacuum Chamber 電子が空気分子と衝突しないように真空を維持する空間です。
- Insulator 各電極や構造体を電気的に絶縁し、位置関係を保持する部品です。
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| 解析ソフト | PIC-ELECTRON 3D |
| 解析タイプ | 電子軌道解析 |
| 解析オブジェクト | sem.obj |
| 電圧 | Cathode:-3000[V] Anode:0[V] Sample:0[V] |
| 比誘電率(誘電体) | Insulator:9.5 |
| 磁場条件 | Electromagnetic Lens:解析条件に応じて設定 |
| 1nsあたりの生成電子数 | 10000個 |
| 生成電子の初速度 | 1.0×103 [m/s] |
| 時間刻み幅 | 1.0×10-11 [s] |
| 総シミュレーション時間 | 2.0×10-8 [s] |
なお、これらの初期条件の設定はソフト内(PIC-ELECTRON 3D)で設定できます。
図3:PIC-ELECTRON 3DにおけるSEM解析条件の設定
解析結果
図4:SEM内部における電子軌道解析
上記資料は、実際にPIC-ELECTRON 3Dで計算したSEM内部の電子軌道解析結果の一例です。 図4では、電子源から放出された電子が、加速電圧およびレンズ作用によって細く絞られながら試料方向へ輸送される様子を確認できます。 SEMでは、電子ビームの発散や収束の状態が観察分解能に影響するため、このような電子軌道解析は装置設計や条件最適化に有効です。 なお、今回用いたCADモデルは簡易的に作成したものであるため、レンズ条件や部品形状は説明用に簡略化しています。 また、PIC-ELECTRON 3Dでは、上記の計算結果に加えて、さまざまなデータを出力することができます。- 電子密度
- 電流密度ベクトル
- 電場ベクトル
- 磁場ベクトル
- 速度ベクトル
- 到達エネルギー分布