解析事例

半導体におけるシリコンキャパシタの電場解析

 

今回は、ELECTRIC-FIELD 3D(電場解析)で半導体内素子の電場解析をしれみます。

半導体における電場解析について

図2:シリコンキャパシタの概念図

半導体内部では、電子や正孔は電場によって加速・移動します。

つまり、電場の分布が分からないと、電流の流れ方、電荷のたまり方、絶縁破壊しやすい場所、スイッチング特性などを正しく把握できません。

主な理由は下記の通りです。

1. 電子・正孔の動きを決めるため
半導体中のキャリアは電場で動くので、電場分布を調べることで、電流経路や電荷輸送の様子を予測できます。MOSFET、ダイオード、IGBT などは特に重要です。

2. 高電界による破壊やリークを防ぐため
局所的に電場が強すぎると、絶縁膜破壊、pn接合のアバランシェ破壊、トンネル電流増加、リーク増大が起こります。
そのため、どこに電場集中が起きるかを解析する必要があります。

3. 素子性能を最適化するため
電場分布は、しきい値電圧、オン抵抗、耐圧、スイッチング速度、寄生容量などに影響します。
解析によって、電極形状、ドーピング分布、絶縁膜厚み、ガードリング配置などを最適化できます。

4. 微細化で問題が顕在化しやすいため
半導体が微細になるほど、狭い領域に電場が集中しやすくなります。
昔は無視できた効果でも、微細デバイスでは短チャネル効果やホットキャリア劣化などが深刻になります。

5. パワー半導体では耐圧設計に直結するため
SiCやIGBT、MOSFETなどのパワーデバイスでは、どこに最大電場が立つかが耐圧を左右します。
終端構造やエッジ部の設計では、電場解析がほぼ必須です。

6. 試作回数を減らせるため
実際に作って測るだけでは時間もコストもかかります。
電場解析を使えば、試作前に問題点を予測し、設計の当たりをつけられます。

今回は、半導体の代表格であるキャパシタの内部やその周辺の電場について解析してみます。

シリコンキャパシタの電場解析

ELECTRIC-FIELD 3Dを用いてシリコンキャパシタの電場解析を実施します。

解析モデルは下記の通り。

解析モデル

図2:シリコンキャパシタの解析モデル

上記のようなシリコンキャパシタの解析モデルを作成し、キャパシタ内部とその周辺の電場分布解析を実施しました。 なお、各部品の役割は下記の通り。

        • Top Pad
          外部から上側電極へ電気的に接続するための端子です。測定器や配線から信号・電圧を入れる入口になります。

        • Top Bus
          Top Pad と Top Electrode をつなぐ配線です。上側電極まで電位を運ぶ導体パターンです。

        • Top Electrode
          コンデンサの上側電極です。Bottom Electrode と向かい合って電界をつくり、容量の主な形成に関わります。

        • Bottom Pad
          外部から下側電極側へ接続するための端子です。GND側や基準電位側の取り出し端子として使われることが多いです。

        • Bottom Bus
          Bottom Pad と Bottom Electrode をつなぐ配線です。下側電極へ電位を伝える役割を持ちます。

        • Bottom Electrode
          コンデンサの下側電極です。Top Electrode と対になって、実際に電荷を蓄える相手側の電極になります。

        • Dielectric Layer
          上側電極と下側電極の間に入る絶縁層です。電流を直接流さずに電界だけを通し、コンデンサとして機能させます。
          この層の厚み比誘電率が容量値に大きく効きます。

        • Guard Ring
          主電極の周囲に配置される補助導体です。端部の回り込み電界や漏れ電流、寄生容量の影響を抑え、測定安定性や解析精度を高める目的で使われます。

        • Silicon Substrate
          構造全体を支える基板材料です。機械的な支持体であると同時に、実際には寄生容量や電界分布にも影響します。半導体基板であれば、導電率や誘電率の設定が解析結果に効いてきます。

解析条件

解析条件を下記に示します。

解析ソフト PIC-PLASMA 3D or PIC-ELECTRON 3D or ELECTRIC-FIELD 3D
解析タイプ 電場解析
解析オブジェクト semiconductor.obj
  • Before

 電極・GND・材料定数の設定が不十分なモデル

部品 電圧 比誘電率 εr
Top_Pad +5 V 1.0*
Top_Bus +5 V 1.0*
Top_Electrode 固定しない 1.0*
Bottom_Pad 0 V 1.0*
Bottom_Bus 0 V 1.0*
Bottom_Electrode 固定しない 1.0*
Guard_Ring_W/E/S/N 固定しない 1.0*
Ground_Tie 固定しない 1.0*
GND_Via 固定しない 1.0*
Backside_Ground 固定しない 1.0*
Dielectric_Layer 固定しない 1.0
Silicon_Substrate 0 V固定 1.0

 

  • After
電極電位・接地条件・材料定数を適切に反映したモデル
部品 電圧 比誘電率 εr
Top_Pad +5 V 1.0*
Top_Bus +5 V 1.0*
Top_Electrode +5 V 1.0*
Bottom_Pad 0 V 1.0*
Bottom_Bus 0 V 1.0*
Bottom_Electrode 0 V 1.0*
Guard_Ring_W/E/S/N 0 V 1.0*
Ground_Tie 0 V 1.0*
GND_Via 0 V 1.0*
Backside_Ground 0 V 1.0*
Dielectric_Layer 固定しない 3.9
Silicon_Substrate 固定しない 11.7

なお、これらの初期条件の設定はソフト内(PIC-ELECTRON 3D)で設定できるぞ。

下図に、ELECTRIC-FIELD 3Dにおける今回の解析条件の入力画面を示します。

解析結果

  • Before
【全体】 【切断面】

図3:電極・GND・材料定数の設定が不十分なモデルの電場分布

  • After

【全体】

【切断面】

図4:電極電位・接地条件・材料定数を適切に反映したモデル

上記資料は、実際にELECTRIC-FIELD 3Dで計算した実際の解析結果です。

After条件では、主電極・対向電極・ガードリング・裏面GNDの電位条件を適正化したことで、電場の閉じ方が明確になり、Before条件で見られた浮遊導体由来の不安定な電場分布が解消される結果が得られています。。

なお、今回用いたcadモデルは簡易的に作成したものであるため、電極電圧やその他の条件設定は簡略化しています。

※上記は一例です。 製品開発に電場解析ソフトのELECTRIC-FIELD 3Dを是非ご活用ください。

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