解析事例

プラズマ切断機におけるプラズマイオンのターゲット衝突解析

 

プラズマとは

図1:物質の4つの状態

よく物質は固体・液体・気体に分けられますが、気体をさらに加熱することでプラズマを生み出すことが可能です。

そのため、プラズマは物質の『第4の状態』と表現されます。

プラズマとは物質が電離した状態のこと。 電離とは、分子や原子が壊れて電子とイオンに分かれる現象のこと。
粒子同士(イオン・電子・原子)が衝突しあうことによってプラズマが生まれるんだよ。
どんな環境だとプラズマが生まれるんですか?
主に、太陽などの超高温領域や気体に高い電圧が印可されたときにプラズマは発生するのじゃ。

今回は、PIC-PLASMA 3D(プラズマ解析ソフト)で産業用製品のプラズマ切断機を解析してみます。

プラズマ切断機は、電気エネルギーでガスをプラズマ化し、その超高温・高速の噴流で金属を溶かして吹き飛ばすことで切断します。

 

図2:プラズマ切断機の概念図

基本原理は下記の通りです。


    1. ガス供給
    2. アーク発生
    3. ガスが電離してプラズマ化
    4. プラズマジェットにより金属を融解
    5. 融解金属を排出
    6. 切断

 

プラズマ切断は、鉄・ステンレス・アルミなどの導電性材料に対して使われ、圧縮空気や窒素などのガスを細いノズルから流しながら、トーチ内部の電極と母材の間にアークを発生させます。

このアークによってガスが電離し、導電性をもつ高温のプラズマ流になり、金属を『溶かす』だけでなく『吹き飛ばす』ところまでを含めて切断されます。

装置内部では、基板を置く電極に高周波を印加することで自己バイアス電圧が生じ、イオンが基板へほぼ垂直に入射しやすくなります。そのため、微細なパターンを横に広げず、深く正確に加工できます。

プラズマエッチング装置の特徴は、

  • 金属を速く切れる
  • 中厚板にも強い
  • 比較的高精度
  • 設備の汎用性が高い

という点です。

一方で、

  • 熱影響や消耗部品管理が必要

などが課題になります。

要するに、プラズマエッチング装置は、真空中で発生させたプラズマの化学反応性とイオン衝撃を利用して、材料表面を精密に除去する装置です。

プラズマ切断機におけるターゲットへの負荷解析

PIC PLASMA 3Dを用いて、プラズマ切断機におけるターゲットへの衝突シミュレーションをしてみましょう。

解析モデルは下記の通り。

解析モデル

図3:プラズマエッチング装置の解析モデル

上記のようなプラズマ切断機モデルを作成し、プラズマの軌道解析とtargetへの衝突シミュレーションを実施しました。

なお、プラズマの発生機構は下記の通りです。

図4:プラズマの生成過程

解析条件

解析条件は以下の通りです。

解析ソフト PIC-PLASMA 3D
解析タイプ プラズマ解析
解析オブジェクト plasmacutting.obj
プラズマ粒子種 O₂
プラズマ密度 1.0×1011[個/m3]
累積エネルギー対象オブジェクト target
電圧 target:-500[V] , arc :0[V] , electrode:500[V]
時間刻み幅 1.0×10-9[s]
総シミュレーション時間 2.0×10-6[s]
なお、これらの初期条件の設定はソフト内(PIC-PLASMA3D)で設定できるぞ。

図5:PIC-PLASMA 3Dにおける解析条件の設定

 

解析結果


図6:プラズマ切断機におけるプラズマイオンの軌道解析

 
 

図7:ターゲットにおけるプラズマの累積衝突エネルギー

 

上記資料は、実際にPIC-PLASMA3Dで計算した実際の解析結果です。

図6は、プラズマ内のイオン(O₂+)の振る舞いをアニメーションで可視化しています。 図7は、ターゲットとプラズマの累積衝突エネルギー(運動エネルギー)を示しています。

ガスの放電によって発生したプラズマ内のイオンがターゲットに衝突していることが確認できるね。
この衝突エネルギーによってターゲット材料を微細に削ることができるんだ!

なお、今回用いたcadモデルは簡易的に作成したものであるため、電極電圧やその他の条件設定は簡略化しています。

また、PIC-PLASMA 3Dでは、上記の計算結果に加えて、さまざまなデータを出力することができます。

  • 電子密度
  • 電流密度ベクトル
  • 電場ベクトル
  • 速度ベクトル
  • 背景ガスやジェットガスにおけるプラズマとの衝突

※上記は一例です。 プラズマ製品の開発にPIC-PLASMA 3Dを是非ご活用ください。

 

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